子どもの言葉が遅い|保育園で受けられる支援と相談先
言葉の発達に心配がある我が子を前に、保護者は不安を感じるものです。しかし、保育園では専門家による的確な支援が受けられます。まずは保育士に相談し、必要に応じて専門機関と連携する流れを理解しておきましょう。言葉の遅れは早期発見・早期支援が何より重要です。
目次
言葉の遅れの目安と見極め方
1歳半健診でチェックされるポイント
厚生労働省の「乳幼児健康診査の手引き」によると、1歳半健診では言葉の発達も重要な評価項目です。具体的には以下のような基準が設けられています。
| 年齢 | 言葉の目安 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1歳半頃 | 2語以上の単語を話す | 「ママ」「ワンワン」など |
| 2歳頃 | 2語文以上を話す | 「ママ、きた」「ボール、とって」 |
| 3歳頃 | 3語文以上を話す | 「おにいちゃん、あそぼう」 |
出典: 厚生労働省「乳幼児健康診査の手引き(令和4年度版)」
保護者が気づくべきサイン
言葉の遅れは単に「話さない」だけでなく、以下のような行動パターンでも見分けられます。
- 指差しやあいさつなどの非言語的コミュニケーションが乏しい
- 特定の音や言葉の繰り返し(例:常に「あー」としか言わない)
- 人の話を聞いて反応しない(聞こえていない可能性も)
- 興味のあるものに対して言葉で要求しない
保育園でできる簡易チェック
保育士は日常の遊びや生活場面で以下の点を観察しています。
- 友達とのコミュニケーションの取り方
- 絵本の読み聞かせ時の反応
- 指示を理解して行動できるか
- ジェスチャーを使って意思を伝えようとするか
これらの観察を通じて、保育園は言葉の遅れの可能性を早期に察知します。
保育園で受けられる具体的な支援内容
個別支援計画の作成
言葉の遅れが見られた場合、保育園では以下のような支援計画を立てます。
- 個別の目標設定:具体的な言葉の獲得目標(例:1ヶ月で「ママ」と言えるようにする)
- 支援方法の共有:保育士間で統一した声かけ方法を決める
- 保護者へのフィードバック:日々の様子や進捗を報告
保育現場での具体的な取り組み
保育園では言葉の発達を促すために、以下のような工夫がされています。
| 取り組み内容 | 具体例 | 効果 |
|---|---|---|
| 絵本の読み聞かせ | 1日2回、10分程度の読み聞かせを実施 | 語彙の増加と文法の理解促進 |
| リズム遊び | 手遊び歌やマラカスを使った音楽活動 | 発声のリズム感と表現力向上 |
| ごっこ遊び | お店屋さんごっこや電車ごっこ | 会話のシミュレーションと役割分担 |
| 指差しの促進 | 「どれがいい?」と尋ねて選択を促す | 要求表現の発達を促す |
出典: 厚生労働省「保育所保育指針解説書(平成30年改訂版)」
専門家との連携体制
多くの保育園では以下の専門家と連携して支援を行っています。
- 言語聴覚士(ST):言葉の発達に関する専門的なアドバイス
- 児童発達支援センター:専門的な療育プログラムの提供
- 保健師:健康面や発達全般の相談
保育園によっては、月に1回程度の専門家による巡回指導を受けているところもあります。
保護者ができる自宅でのサポート方法
日常生活での言葉かけの工夫
保護者が意識するだけで、子どもの言葉の発達は大きく変わります。具体的には以下のような方法があります。
| 方法 | 具体例 | 効果的なタイミング |
|---|---|---|
| 実況中継 | 「今、ママはりんごを切っているよ」 | 料理や掃除の最中 |
| 選択を促す | 「赤い服と青い服、どっちがいい?」 | 服を選ぶ時、おやつを選ぶ時 |
| 拡大模倣 | 子どもが「ワンワン」と言ったら「ワンワンだね!」と繰り返す | 子どもが発した言葉の直後 |
| 質問を減らす | 「これなあに?」ではなく「これはりんごだよ」と教える | 日常のあらゆる場面 |
遊びを通じた言葉の発達支援
子どもは遊びを通じて言葉を学びます。以下のような遊びが効果的です。
- ごっこ遊び:お店屋さん、病院ごっこなどで会話の練習
- 積み木遊び:「上に乗せて」「倒れる」などの言葉を使う
- 絵本の読み聞かせ:繰り返し読むことで語彙を増やす
- 音楽遊び:手遊び歌やリズム遊びで発声の練習
テレビ・タブレットの適切な活用
言葉の発達には、実際の人とのやり取りが最も重要です。厚生労働省の「幼児期のメディアとの関わり方」によると、2歳以下の子どもにはテレビやタブレットを視聴させないことが推奨されています。
やむを得ず見せる場合でも、以下の点に注意しましょう。
- 1日30分以内に制限する
- 親子で一緒に視聴し、内容について話し合う
- 教育的な番組を選ぶ(例:「いないいないばあ」など)
出典: 厚生労働省「幼児期のメディアとの関わり方に関するガイドライン(平成29年改訂版)」
専門機関と連携した支援の流れ
まずは保育園に相談する
言葉の遅れに気づいたら、まずは保育園の担任に相談しましょう。保育園では以下のような対応が行われます。
- 保育士による観察と評価
- 保護者との面談(具体的な気づきや心配事の共有)
- 専門家(言語聴覚士など)への相談
- 必要に応じて、児童発達支援センターや医療機関への紹介
児童発達支援センターの活用
保育園から紹介された場合、児童発達支援センターでは以下のような支援が受けられます。
- 個別療育:1対1での言葉の発達支援
- 集団療育:同年代の子どもとの交流を通じたコミュニケーション練習
- 保護者支援:家庭での関わり方についてのアドバイス
- 言語聴覚士による評価:言葉の遅れの原因や程度を詳しく調べる
児童発達支援センターは、障害の有無にかかわらず利用できる公的な支援機関です。利用には市区町村への申請が必要ですが、言葉の遅れに対する支援は比較的受けやすいとされています。
医療機関の受診
言葉の遅れの原因として、以下のような可能性が考えられます。
- 聴覚障害
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 知的障害
- 発達性言語障害(DLD)
これらの可能性を調べるために、耳鼻科や小児科、発達外来などの受診が勧められます。医療機関では以下のような検査が行われます。
- 聴力検査
- 発達検査(DENVER IIなど)
- 言語評価
出典: 日本小児神経学会「発達障害の診断と支援に関するガイドライン(2020年)」
療育手帳や障害児通所給付費の申請
言葉の遅れが重度の場合、療育手帳の取得や障害児通所給付費の申請が可能な場合があります。これらの制度を利用することで、以下のような支援が受けられます。
- 療育手帳:公的な障害認定により、各種支援策を受けられる
- 障害児通所給付費:児童発達支援センターなどの利用費用の補助
- 特別児童扶養手当:経済的な支援
申請には医師の診断書が必要となるため、まずは医療機関を受診しましょう。なお、制度の内容や申請方法は自治体によって異なるため、詳細は各市区町村の障害福祉課に確認してください。
言葉の遅れに関するよくある質問
Q1: 言葉が遅いと ADHD や自閉症の可能性はありますか?
A1: 言葉の遅れは ADHD や自閉症の症状の一つとして現れることがありますが、それだけで診断できるわけではありません。言葉の遅れの原因は多岐にわたり、聴覚障害や知的障害、環境要因なども考えられます。まずは専門家に相談し、包括的な評価を受けることが重要です。
参考: アメリカ精神医学会「DSM-5-TR(2022年)」
Q2: 保育園で「言葉が遅い」と言われました。次に何をすればいいですか?
A2: まずは保育園の担任と具体的な支援内容について話し合いましょう。その上で、以下のような対応が考えられます。
- 保育園で実施されている支援方法を家庭でも取り入れる
- 児童発達支援センターに相談し、専門的な支援を受ける
- 医療機関を受診し、言葉の遅れの原因を調べる
保育園と家庭、専門機関が連携して支援に取り組むことが大切です。
Q3: 言葉の遅れは治りますか?
A3: 言葉の遅れは早期発見・早期支援によって改善することが多いです。早期に支援を開始することで、言葉の発達が追いつくケースは多いといわれています。
Q4: 言葉の遅れに効果的な絵本はありますか?
A4: 以下のような特徴を持つ絵本が効果的です。
- 繰り返しのフレーズがある本(「いないいないばあ」「もこもこもこ」)
- 身近なものを扱った本(「くだもの」「どうぶつ」)
- 触ったり動かしたりできるしかけのある本
保育園の担任や児童発達支援センターの言語聴覚士に、お子さんに合った絵本を紹介してもらうのも良いでしょう。
Q5: 言葉の遅れが気になりますが、保育園に言っても大丈夫でしょうか?
A5: 保育園は子どもの発達を支援する専門機関です。言葉の遅れについて保護者が相談することは、決して悪いことではありません。むしろ、早期に気づいて支援につなげることが重要です。保育士は日頃から子どもの様子を観察しており、保護者の不安を共有することで、より的確な支援につなげることができます。
Q6: 言葉の遅れは遺伝しますか?
A6: 言葉の遅れの原因には、遺伝的な要因も関与していると考えられています。しかし、遺伝だけでなく、環境要因(家庭の関わり方、保育環境など)も大きく影響します。遺伝的な要因がある場合でも、早期の支援によって改善することが期待できます。
参考: 国立精神・神経医療研究センター「言語発達障害に関する研究(2021年)」
Q7: 言葉の遅れと聴力の関係は?
A7: 言葉の遅れの原因の一つに聴力の問題があります。聞こえにくいと、周りの人の言葉を聞き取ることが難しくなり、結果として言葉の発達が遅れることがあります。そのため、言葉の遅れが見られた場合は、まず聴力検査を受けることが推奨されます。
出典: 日本耳鼻咽喉科学会「小児の聴覚障害に関するガイドライン(2020年)」
まとめ:保護者が取るべき行動と支援の活用法
言葉の遅れは早期発見・早期支援が何より重要です。保護者は日頃から子どもの様子を注意深く観察し、気になる点があればすぐに保育園に相談しましょう。保育園では専門的な支援が受けられ、必要に応じて児童発達支援センターや医療機関と連携した支援体制が整っています。
家庭では、日常生活の中で言葉をかける機会を増やし、絵本の読み聞かせや遊びを通じて言葉の発達を促すことが大切です。テレビやタブレットは最小限にし、実際の人とのコミュニケーションを重視しましょう。
言葉の遅れは決して珍しいことではありません。多くの子どもが支援を受けることで改善しています。保護者、保育園、専門機関が連携して、お子さんの言葉の発達を支援していきましょう。
最後に、言葉の遅れに関する支援は自治体によっても異なります。最新の情報は各自治体の公式ウェブサイトや保健センターで確認してください。また、保育料や支援費用についても、所得や状況によって異なるため、詳細は各機関に直接お問い合わせください。
子どもの言葉の発達は、保護者と周囲のサポートによって大きく左右されます。一人で悩まず、まずは保育園に相談することから始めてみましょう。専門家と連携しながら、お子さんに合った支援を受けることが何より大切です。
本記事はRoute Bloom編集部が厚生労働省・各自治体の保育情報をもとに作成しています。保育制度は自治体ごとに異なります。最新情報は各自治体の窓口でご確認ください。
2歳・4歳の子を持つ母。保活で認可・認可外を含む5か所の保育園を見学・選択した経験から、保活の実情をリアルに発信。保育料無償化・学童問題にも詳しい。

