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保育士は今も人手不足?有効求人倍率は全国2.77倍・東京は4.28倍

保育士の有効求人倍率(令和7年7月・各年度で最も高い月) 保育園入園
保育士の有効求人倍率(令和7年7月・各年度で最も高い月)

「近くの保育園に入れるかどうか」という心配をしているとき、もうひとつ気にしてほしい問いがあります。それは「その保育園に保育士が揃っているか」という点です。施設があっても人が集まらなければ、定員は埋まらず、保育の質にも影響が出る。こども家庭庁が公表した2025年(令和7年)のデータから保育士の有効求人倍率を読み解くと、その現状が数字として見えてきます。

2.77倍が示す現実:求人2件以上に応募者1人の状態

有効求人倍率とは、ハローワーク(公共職業安定所)に登録された有効求人数を有効求職者数で割った指標です。1倍を超えると、求職者1人に対して1件以上の求人が存在する——つまり職を選ぶ側に有利な「売り手市場」の状態を意味します。

こども家庭庁が公表した職業安定業務統計(厚生労働省)によると、令和7年7月時点での保育士の有効求人倍率は全国で2.77倍。前年同月と比べて0.08ポイント上昇しており、不足傾向が続いています。全職種の平均は1.18倍ですから、保育士の求人倍率がいかに突出して高いかがわかります。

保育士の有効求人倍率(令和7年7月・各年度で最も高い月)
保育士の有効求人倍率(令和7年7月・各年度で最も高い月)(出典: こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移」(出典: 厚生労働省 一般職業紹介状況/職業安定業務統計)をもとに編集部作成)

東京都に限ると、この数値は4.28倍まで上昇します。求職者1人に対して4件以上の求人が出ている計算で、首都圏での人材確保の困難さが数字に表れています。こども家庭庁の資料では各年度で最も高い月の数値で推移が示されており、保育士の人手不足が構造的に継続していることが確認できます。

東京4.28倍・全国2.77倍——この差が生まれる背景

需要の拡大と供給の不足が重なる構造

保育所の整備が全国で進んだ2010年代以降、保育施設の数が増えるにつれて必要な保育士の数も増加しました。国が定める配置基準(保育士1人当たりが担当できる児童数の上限)がある以上、施設数の増加は自動的に人材需要の増加につながります。

一方で、保育士資格を持ちながら保育の現場で働いていない「潜在保育士」の存在が以前から指摘されてきました。資格保有者の数と実際の就業者数の間にギャップがあることが、慢性的な人材不足の背景にあります。需要側が増え、供給側の実働が追いついていない——この構造が有効求人倍率を押し上げています。

なぜ都市部の倍率はさらに高くなるのか

東京都の4.28倍は全国平均の2.77倍を大きく上回っています。都市部では保育施設の密度が高く、求人数そのものが多い。しかし同時に、生活コストの高さが保育士として働くことへの障壁になりやすい側面があります。他産業と比べた給与水準、住居費、通勤時間といった要素が重なり、首都圏での保育士確保が地方より困難な状況が続いています。

国や自治体は処遇改善加算などの制度を通じて保育士の賃金水準引き上げに取り組んできました。それでも有効求人倍率が2.77倍という高い水準を維持しているということは、改善が人材不足の解消に届いていない部分が残っていることを示しています。処遇改善の具体的な内容や金額は自治体・施設によって異なるため、詳細は各自治体の公式情報で確認してください。

保護者が知っておきたい実務的な視点

「定員に空きがあるか」だけでなく「人員が確保されているか」

保育士不足は、保護者の立場からすると二重の問題です。ひとつは「入りたい保育園に空きがあるか」というわかりやすい問題。もうひとつは「入れた保育園の人員が十分かどうか」という、入園後に関わってくる話です。

保育士が配置基準ギリギリの状態では、子ども一人ひとりへの関わり方が変わることがあります。保育園の見学時に「現在のスタッフ数」や「勤続年数の長い職員がいるか」を確認することは、施設を選ぶ際の手がかりになりえます。施設側が開示できる情報には限りがありますが、気になる点は見学時に直接聞いてみることをお勧めします。

新設施設を検討するときの確認ポイント

人手不足が続く中でも、保育施設の新設は各地で行われています。開設から間もない施設は定員に余裕がある場合もありますが、保育士の確保が安定しているかどうかも気になるところです。認可保育所・認定こども園・小規模保育事業など、施設の類型によって国が定める保育士の配置基準が異なります。類型ごとの基準の細かい違いは自治体窓口で確認してください。

保活の時期と地域選びに活かせること

保育士不足が深刻な地域では、自治体が独自の採用支援策(家賃補助・奨学金返還補助など)を設けているケースがあります。これは保護者への直接の支援ではありませんが、「その自治体が保育体制に力を入れているかどうか」を見る間接的な指標になります。産前や転居前の段階から保育環境を調べられる状況であれば、候補の自治体に「保育士確保のための独自施策があるか」を問い合わせてみる価値があります。

有効求人倍率2.77倍という数字が示すのは、保護者側の競争(希望者が多い)だけではありません。施設側が人を集めるために何をしているか——という視点も、保活の情報収集の射程に入れておくと判断の幅が広がります。早く動き出すほど選択肢が増えるのは確かです。ただ、焦りから候補を絞り込みすぎず、複数の施設を比べながら地域全体の保育環境を把握する動き方が、結果として安心感に結びつきます。

また、有効求人倍率はあくまで労働市場の指標であり、地域の待機児童数や入園の競争率と直接連動するものではありません。しかし、保育士が集まりにくい地域ほど定員の拡大や安定した運営が難しくなる傾向はあります。入園の見通しを立てる際の背景知識として押さえておいてください。

まとめと出典

令和7年7月の保育士の有効求人倍率は全国で2.77倍(前年同月比+0.08ポイント)、全職種平均の1.18倍を大きく上回り、東京都では4.28倍に達しています。この数値は毎年更新されるため、最新の状況はこども家庭庁や各都道府県の公表資料で直接確認してください。制度・統計は変更される可能性があり、地域によって保育環境に差があることも念頭に置いておく必要があります。

出典:こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移」(出典:厚生労働省 一般職業紹介状況/職業安定業務統計)(2025年(令和7年)10月公表資料)

【出典】こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移」(出典: 厚生労働省 一般職業紹介状況/職業安定業務統計)(2025年(令和7年)10月公表資料)/一次資料: PDF

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本記事は保育園コンパス編集部がこども家庭庁・厚生労働省・各自治体の保育情報をもとに作成しています。保育制度は自治体ごとに異なります。最新情報は各自治体の窓口でご確認ください。 編集ポリシーはこちら
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